アイスキャップのことを知っている人はどれくらいいるでしょうか?
フローズンキャップと呼ばれたり商品名のディグニキャップとも言われたりしますが原理や目的は同じ。
まとめて頭部冷却装置といい、そういった方法を頭部冷却法といいます。
実はこれが抗がん剤の辛い副作用の1つでもある脱毛に効果があると認められつつあるのです。
私が悪性リンパ腫の治療をしたのは2012年の冬。
当時、そんな情報は全く私の耳に入ってくることはありませんでした。
もちろん医師から説明を受けたこともありません。
脱毛は抗がん剤の中でも特に辛い副作用の1つ。
女性の立場であれば言うまでもないですよね。
それがもし事前の対策で防ぐことができるなら。
この記事ではアイスキャップ、頭部冷却装置が抗がん剤の脱毛に本当に効果があるのか?
また知っておくべきデメリットについてもまとめています。
目次
アイスキャップ(頭部冷却法)は脱毛の軽減に効果がある
先に結論から言ってしまうと、アイスキャップは脱毛の軽減に一定の効果があります。
一定といったのには2つの理由があります。
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- 全ての人に効果があるわけじゃないから
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- 脱毛自体を100%防ぐことは難しいから
ただ使用しない場合と比較すると明らかな改善があり科学的根拠も存在しています。
その証拠にアメリカでは2015年にFDAで医療機器として承認されました。
FDAは日本語で言うと米国食品医薬品局って言うの。
アメリカの医薬品や医療機器などの取り締まりや規制を行っている機関なんだよ。
以下、報告されている効果について引用します。
2015年に、FDAは乳がん患者におけるDigniCapの使用に関して販売承認した。この承認のために、脱毛との関連性が認められている化学療法を受ける乳がん患者(ステージIおよびII)122人を対象に、この冷却システムの有効性を検証した。この試験の結果、DigniCapによる治療を受けた患者の66%以上で脱毛量が50%未満であった
(FDAが化学療法中の脱毛症に冷却キャップの適用拡大を承認)
頭皮冷却療法で報告された全体的な成功率は50~80%です。この成功率は、頭皮冷却で脱毛が完全に阻止されたことを意味するわけではありません。ある患者の脱毛が50%未満であり、通常その患者がウイッグまたは頭部を覆う帽子類を必要と感じないほど頭髪が十分残っていることを意味します。
(頭皮冷却は化学療法による脱毛を防げるか)
へ~すごい!
つまり頭部冷却装置を使用した半数以上の人に脱毛減少の効果があったんだね。
さらに脱毛量を半分未満に抑えることができたって素晴らしい!
上記はアメリカで行われた研究ですが、最近では日本でも臨床試験が行われています。
ここでも効果が認められることが期待できるのではないでしょうか。
【参考】化学療法実施中乳がん患者に対する頭皮冷却法の確立と安全性に関する研究
なぜ頭部冷却法で脱毛を軽減することができるのか?
アイスキャップなどの頭部冷却装置を使うことで抗がん剤が頭皮の細胞までいく量を抑えることができるからです。
頭部冷却法のしくみはとてもシンプルでコンピューターによって冷却液が一定に循環するよう管理されたキャップをかぶることで頭部を冷やします。
頭を冷やすことで血管は収縮し血流が減りますよね。
必然的に血液にのって頭皮の細胞へ運ばれる抗がん剤の量も減り影響を抑えることができるからです。
そう言えば採血するとき温めると血流が増加して血が取りやすくなるって看護士さん言ってた!
冷やして血流を減らすってその反対のメカニズムってことなんたね。
またもうひとつの作用として、低温の状態では毛包の働きが抑えられ細胞分裂がゆっくりになることがあります。
その結果抗がん剤の影響を最小限に抑えることができるのです。
こっちはリュープリン注射による卵巣保護と同じ感じだね。
一時的に働きをとめる(細胞分裂を鈍くする)ことで抗がん剤の影響を極力受けないようにしようってことなんだね。
頭部冷却法のメリットとデメリット
脱毛の軽減に効果のある頭部冷却法ですがメリットだけではありません。
もしアイスキャップなどを使った頭部冷却法を希望するなら後々後悔しないためにデメリットについても知っておくべき必要があります。
【メリット】
脱毛の軽減が期待できる
言うまでもなく1番のメリットであり最大の目的がこれですね。
頭皮冷却装置を使用しない場合とでは脱毛の頻度や程度に明らかな違いがあるとわかっています。
抗がん剤による脱毛の副作用を減らすことができるのです。
QOLの改善
脱毛の軽減により精神的負担の軽減にもつながります。
ウィッグを強いられての日常生活は想像以上に大変なことが多いです。
これは私自身が7か月に及ぶ抗がん剤治療をし、トータル2年近くウィッグ生活を送ったからこそ間違いなく言えること。
脱毛が軽減されウィッグが不要となれば生活の質は保たれます。
【デメリット】
頭痛などの不快感
頭部冷却法は抗がん剤の点滴中だけ行えばいいというわけじゃありません。
アイスキャップなど頭部を冷やすキャップ状の装置を点滴30分前から始め点滴後も90分~120分程度と長い時間装着する必要があります。
これによって頭痛や寒気などを感じる場合があります。
私自身はこのアイスキャップを使用したことがないので装着感についてはわかりませんが、少なくとも抗がん剤治療中は副作用のためにただでさえ頭痛や吐き気がある状態でした。
私の場合はメガネの重ささえも耐えらない程。
個人差はあるとは思いますがそんな状態でこの頭部冷却法を行うのは私の場合は無理だったかもしれません。
効果には個人差がある
効果についてのところでもお話ししましたが全体的な成功率は50~80%との報告があります。
つまり反対に言うと50%~20%の人には効果がみられないということです。
せっかく自費で辛い思いをしてやったのに効果ないなんて・・・と落胆する結果になることもあり得ます。
長期的なリスクについてわかっていない
FDA(米国食品医薬品局)が医療機器と認めたのはほんの数年前の2015年のこと。
使用され始めてからまだ日が浅いため長期的影響や頭部への転移のリスクがまだ十分に検証されていないのです。
ちなみに日本では実際に頭部冷却法を行っている医療機関はあるものの厚生労働省によって医療機器と認可されているわけではありません。
日本人に対する安全性と長期的な作用についてもっとたくさんのデータが必要だと考えられます。
適用外のガンがある
全てのガンの抗がん剤治療で行えるわけではありません。
悪性リンパ腫や白血病などの血液がんでは転移の恐れがあるため使用が禁止されています。
保険がきかない
現時点では医療機器として承認されていないため保険診療の対象外となっています。
そのため頭部冷却法を希望する場合は自己負担に。
ちなみに1回で3000円程度の負担額となる病院が多いようです。
補足
病院が限られる
現時点では保険適用外のため導入している施設が少ないのが実際のところです。
受けられる病院は下記のみ。
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- 臨床試験を行っている病院
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- 独自で購入して運用している医療機関
実際にどの病院で行っているかは次にまとめています。
頭部冷却法を行っている病院一覧
臨床試験を行っている病院も含まれます。
現在は行っていない病院やこれから新たに導入される病院もあるかと思いますので必ずかかりつけの病院、医師に直接確認してください。
臨床試験については「がんの臨床試験を探す(がん情報サービス)」から検索できます。
また臨床試験やその他治療のことについては「がん情報サービスサポートセンター」に電話で相談をすることもできますので活用してみてくださいね。
抗がん剤による脱毛対策の今後に期待
まだまだ日本では行っている施設も少なく保険適用外のためにハードルの高い頭部冷却法。
だけど臨床試験を行っている病院があるのは事実。
今後は正式に医療機器と認められ全ての人が受けられる時代も近いかもしれないですね。
ただこの頭部冷却法に限らずもっともっと抗がん剤の副作用としての脱毛に焦点を向けた新しい薬や治療法が確立されることを祈るばかりです。
命も大切。
だけど髪もやっぱりかけがえのない大切なものですから。
~自身の経験からウィッグ販売を始めました~
脱毛やウィッグのことで不安なこと、お困りのことがあればお気軽にご相談ください^^
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