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血液内科受診
こちらの記事の続きです。
2012年10月30日
治療前すべての検査がようやく終わり、いよいよ具体的な治療方法が決定する日。
とにかく慌ただしくて自分の気持ちがついていくのも大変でした。
時には本当に自分の身に起きている事なのか信じられなくなったり・・・
この日は主治医から詳しい話があるので、両親、旦那さんとともに血液内科受診。
マルク、胃カメラ、PET-CT、生検の結果からようやく種類とステージが判明。
その前に悪性リンパ腫の種類とステージについてまとめます。
悪性リンパ腫の種類は70種類以上もある
悪性リンパ腫の種類はとにかく多く、がん細胞の形態や性質によって70種類以上に分類されています。
まず分類されるのは大きく2つの病型、「非ホジキンリンパ腫」と「ホジキンリンパ腫」。
このは2つはベースとなる標準治療が違うから。
ホジキンリンパ腫はABVD療法、非ホジキンリンパ腫にはCHOP療法が標準治療とされています。
日本では非ホジキンリンパ腫の方が圧倒的に多く、その割合は9割以上。
ホジキンリンパ腫とは
「リード・シュテルンベルグ(ステルンベルグ)細胞」や「ホジキン細胞」という細胞が見られることが特徴です。
リンパ節から発生することが多い。
ホジキンリンパ腫は、さらに古典的ホジキンリンパ腫(この中から更に分類される)、結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫に分けられます。
非ホジキンリンパ腫に比べ、治癒する可能性の高い病気。
非ホジキンリンパ腫とは
日本では悪性リンパ腫のほとんどがこの非ホジキンリンパ腫で占めます。
がんになっている細胞の特徴、染色体検査、遺伝子検査などの結果から更に細かく分類されます。
特に多く用いられるのが、リンパ球のどの細胞から発生するかによって分けられた方法で3つに分類。
【成熟B 細胞腫瘍】
濾胞性リンパ腫・マントル細胞リンパ腫・びまん性大細胞型B 細胞リンパ腫・バーキットリンパ腫など
【成熟T 細胞、NK 細胞腫瘍】
未分化大細胞リンパ腫・成人T 細胞白血病/ リンパ腫・末梢性T 細胞リンパ腫など
【前駆リンパ系腫瘍】
B 細胞リンパ芽球性白血病/リンパ腫・T 細胞リンパ芽球性白血病/リンパ腫など
また進行の速さから見た分類もあり、こちらも3つに分けられる。
【低悪性度/年単位で進行】
濾胞性リンパ腫・MALTリンパ腫など
【中悪性度/月単位で進行】
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫・未分化大細胞型リンパ腫など
【高悪性度/週単位で進行】
リンパ芽球性リンパ腫・パーキットリンパ腫など
ステージについて
ガンがいくつあるか、どのくらい体に広がっているかによって下記のようにⅠ期からⅣ期の4段階に分けられます。
【Ⅰ期】
1つのリンパ節、あるいは1つのリンパ節以外の臓器にガンがある。
【Ⅱ期】
横隔膜をはさんで片側のみにガンが2つ以上ある。
横隔膜の上だけか、下だけかのどちらかであること。
【Ⅲ期】
横隔膜をはさんで上下両方のリンパ節にガンがある。
【Ⅳ期】
リンパ節以外の臓器(肝臓、骨髄など)にもガンが広がっている。
リンパ節のガンの有無は問われない。
また、悪性リンパ腫による全身症状(発熱・盗汗・体重減少)の有無によって、B(症状あり)、A(症状なし)としてより細かく分けます。
具体的には下記のような症状が1つでもある場合にステージに「B」が付け加えられます。
①38℃以上の理由不明の発熱
②シーツや着衣などをかえなければならないほどの大量の寝汗
③6ヵ月以内に体重の10%を超す体重減少
私の悪性リンパ腫の種類とステージと治療方法
バーキット様びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(バーキットリンパ腫とびまん性大細胞型B細胞リンパ腫の中間型
リンパ節生検の結果、「バーキット様びまん性大細胞型B細胞リンパ腫」という種類の悪性リンパ腫であると診断されました。
これはなかなか珍しい型であるようで、悪性リンパ腫の中で一番多い「びまん性大細胞型B細胞リンパ腫」と「バーキットリンパ腫」の両方の要素をもったリンパ腫であるということ。
現時点では確立している標準治療がなく、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の治療法(CHOP療法)もバーキットリンパ腫の治療法(CODOX-M/IVAC、hyper-CVAD療法等)もどちらも効きづらい。
さらに染色体異常も起こってることから予後が不良、とのことでした。
病期はステージ2
診断後の検査の結果、どこにも転移はない。
ただし、PET-CTの結果よりわずかに脇の下のリンパに反応がみられる。
これが悪性かどうかは断定できないとのこと。
一応悪性とみるとステージⅡ。
治療は【R-CHOP療法】より強力な【R/Hyper CVAD/R-MA療法】
バーキットリンパ腫とびまん性大細胞型B細胞リンパ腫の両方の所見があること。
予後不良因子の染色体異常があること。
以上のことからより強力な治療を行うべき。
今回はバーキットリンパ腫で一般的に行われている「R-Hyper CVAD/R-MA療法」を行う予定で決定。
R-Hyper CVAD/R-MA療法とは?実際に使用する抗がん剤
R-Hyper CVAD/R-MA療法は「Hyper-CVAD療法」という抗がん剤の組み合わせと、「MA(MTX+Ara-C)療法」というまた別の抗がん剤の組み合わせにそれぞれリツキサンという薬を追加し、それらを1コースずつ交互に行う方法。
それぞれ使用する抗がん剤の内容です。
【Hyper-CVAD療法】
- リツキサン
- エンドキサン
- アドリアシン
- オンコビン
- デカドロン
【MA療法(MTX+Ara-C療法)】
- リツキサン
- メソトレキセート
- キロサイド
治療の進め方
偶数クールは「R-Hyper-CVAD療法」を、奇数クールは「R-MA療法」を行う。
原則としてそれぞれを各4コース、計8コース。
1コースあたり3週間、計約24週間行う。
(※1コースの中で、最初の2週間は入院、残り1週間は退院になる)
退院中に休息し、骨髄が回復(白血球、赤血球、血小板などの値が一定値まで戻ったら)次のコースに入る。
治療の進め方と同時に脱毛や吐き気、骨髄抑制などの副作用について一通り説明を受ける。
抗がん剤による造血障害によりほぼ100%の確率で輸血が必要になるということ。
強い薬を使用するため中心静脈カテーテルを必要(手足などの点滴からだと漏れたりした場合にリスクが高いので)とする旨説明がありました。
セカンドオピニオン・不妊に備えての話
最後にセカンドオピニオンについてのお話があり、お願いをすることに。
こちらは自分でお願いしたい病院を探し、申し込み、予約をする。必要な書類については依頼すれば主治医が用意してくれるということでした。
不妊に備えて受精卵凍結などの体外受精を行っているクリニックも紹介してもらい、その場で予約までとってくれました。
病状説明書の記録
この日、主治医からいただいた病状説明書に書かれていた内容です。
記録として全文記載します。
【病名】バーキット様びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(Burkitt-like DLBCL)
頸部リンパ節生検の所見により、上記のように診断されました。悪性リンパ腫という病気は、簡単に言えば血液の「がん」であり、主にリンパ節でがん化したリンパ球が増殖する疾患です。これまでの件さの結果では、病変は切除したリンパ節意外に腋窩リンパ節にわずかにPET-CT検査で集積があり、これを病変と考えると、臨床病気はⅡA期になります。また、国際予後指標「IPI」では予後因子は一つも認められず、低リスクとなります。
悪性リンパ腫は、様々な病型に分かれ、急速に進行するタイプから進行が緩徐であるタイプのものまであります。びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)は悪性リンパ腫の中でもっとも多い種類のリンパ腫で比較的急速に進行するタイプのものですが、今回の生検の結果ではそれよりも病気が進行性であるバーキットリンパ種に類似した所見も認められ、Burkitt-like DLBCLという診断でした。Burkitt-like DLBCLは、通常のDLBCLやバーキットリンパ腫より治療抵抗性であることが報告されており、DLBCLと同じ通常の抗がん剤治療や、Burkittリンパ腫と同じ強力な抗がん剤治療などが行われていますが、標準療法は決まっていません。しかし、生検と同時に行った染色体検査では複雑核型異常という染色体の異常を認め、これも予後不良を示唆することなどを考えると、今回はバーキットリンパ腫と同様の強力な抗がん剤治療行った方がよいと考えます。
【治療について】
R-Hyper CVAD/R-MA療法(約24週間)
悪性リンパ腫は血液のがんであり、最初から全身に広がっているため、手術では治療できません。週明けから抗がん剤による化学療法を行います。今回はバーキットリンパ腫でよく行われている治療法であるR-Hyper CVAD/R-MA療法を行います。
R-Hyper CVAD/R-MA療法は、R-Hyper CVAD療法という抗がん剤の組み合わせと、MTX(メソトレキセート)+AraC(シタラビン)大量療法(MA療法)にそれぞれリツキサンというお薬を追加し、それらを1コースずつ交互に行う方法です。原則としてそれぞれ4コース、計8コース行います。リツキサンの投与は、1コース毎に2回投与し、最初の4コースで投与(計8回)します。1コースあたり3週間、計約24週間行います。
R-Hyper CVAD療法の治療予定は以下の通りです。
R-MA療法の治療予定は以下の通りです。
※薬による毒性が強く出た場合は適宜減量を考慮します。
治療はコース毎に入退院を繰り返して行います。コースの合間は一時的に退院していただき、ご自宅で休息していただきます。
【化学療法による一般的な副作用】
化学療法には嘔気、脱毛、全身倦怠感、骨髄抑制による白血球減少、貧血、血小板減少等の一般的副作用が出現します。嘔毛は予防薬でなるべく起こらないようにしますが、化学療法の当日は、食事の摂取量を半分以下に抑えることで、さらに予防効果が高まります。
また、体内の腫瘍成分が崩壊すると腫瘍崩壊症候群や播種性血管内凝固症候群が発生することがあります。抗がん剤治療で壊れた腫瘍の成分により、腎不全や電解質異常、出血傾向が出現したりする可能性があります。予防のために輸液や、予防薬を処方しますが100%防げるわけではありません。血液検査をこまめに行い、悪化させない様に点滴を行います。
【使用を予定している抗がん剤と主な副作用】
1.リツキサン(急性輸注反応、重篤な皮膚障害等)
2.エンドキサン(骨髄抑制、出血性膀胱炎、心筋障害、肺障害等)
3.アドリアシン(骨髄抑制、心筋障害、不整脈等)
4.オンコビン(末梢神経障害、便秘症、腸管麻痺等)
5.デカドロン(高血糖、高血圧、不眠、不穏、せん妄等の精神症状、骨粗鬆症、大腿骨頭壊死症等)
6.メソトレキセート(腎障害、肝障害、粘膜障害〈口内炎・下痢・下血〉)
7.キロサイド〈間質性肺炎、発熱、筋肉痛、皮疹、結膜炎、中枢神経障害、肝障害、膵炎、心毒性〉
リツキサン初回投与には急性輸注反応と呼ばれる反応が起こることがあります。十分に予防する手立てをとり、治療を行うこととします。骨髄抑制としては、白血球減少が最もよく見られる副作用です。白血球、特に好中球は細菌やカビから体を護る役目を果たしているために、一定数以下に減少すると、発熱したりして感染しやすい状態になります。好中球の減少をできる限り少なくして、回復を早めるために、G-CSFという好中球を増加させるお薬を定期的に皮下注射することがあります。熱が出た場合には、抗生剤などを適切に投与して重大な感染症になることをできる限り防ぐようにします。患者さんも、定期的なうがいと手洗いを励行し、治療が終了するまでは生ものを食べないで加熱したものだけを食べること、人混みやほこりっぽいところにはいかないこと、ペットを遠ざけるか、触ったら必ず手洗いをするなどの日常的な予防を行ってください。
血小板や赤血球も減り、輸血を必要とすることがあるかもしれません。頭髪の脱毛が生じますが、治療が終了した後で元に戻ります。また、抗がん剤は毒性のある物質なので、治療後に不妊症、無月経や二次性の造血障害や白血病、他の悪性腫瘍等の晩期毒性が発生することがあります。また腫瘍崩壊症候群や播種性血管内凝固症候群の稀な合併症から急性腎不全や不整脈等の重篤な合併症に至る事があります。
その他に発熱やアレルギー反応、急性輸注反応(抗がん剤点滴開始後に起こる反応)といった投与時有害反応が起こることがあり、重篤なアレルギーや急性輸注反応は血圧低下・呼吸困難・ショックと呼ばれる重篤な状態に至ることがあります。また、上記以外にも予期しない合併症や副作用を認める可能性は否定できません。
このような合併症・副作用が起こらないよう、予防を行いながら治療を開始し、合併症発症時は影響が最小限になるように可能な限りの処置を行います。合併症は症状や程度が軽度のものから、重篤化するものまであります。合併症に対して必要かつ適切な処置を行いますが、極めて稀に合併症により命を落とされる可能性が否定できないことを予めご了承ください。
以上が病気、治療に関する説明です。簡単な病気ではなく、いろいろと不安なことが多いとは思いますが、一緒に頑張って治療をしていきましょう。ご不明な点がありましたら、お気軽にご相談ください。
【他の治療選択肢・セカンドオピニオンについて】
治療についてセカンドオピニオンを求めることは患者さんの権利ですので、ご希望があれば早めにお知らせください。
以上、2012年10月29日に説明を受けた内容です。
病院によって説明に違いがあるかもしれません。
そして、何より医療は日々進歩しています。
選択される薬などもどんどん新しいものが出てくると思いますので、1つの例として参考にしていただけますと幸いです。
~自身の経験からウィッグの販売を始めました☆~
脱毛やウィッグのことで不安なこと、お困りのことがあればお気軽にご相談ください^^