【抗がん剤は本当に辛いのか?】経験したからわかった5つのこと

 

自分がガンになり抗がん剤治療をしなければいけないと告げられたとき、真っ先に頭の中に浮かんだ光景がありました。

そう、よくドラマのシーンでありがちな、病室のベッドの上で激しく嘔吐に苦しむ様子。

もちろん髪はなくて、医療用の帽子をかぶっている・・・みたいな。

だから治療に入る前は恐怖と不安しかなくて、ただただ怖かったのを覚えています。

でも実際に自分が7か月に及ぶ抗がん剤治療を受けてみて、そのイメージがとても変わりました。

その経験をシェアできたらと思います。

これから抗がん剤を受けられる人が少しでも安心して治療に挑めますように。

 

つらいと言われる抗がん剤の一般的なイメージ

抗がん剤のイメージ

“抗がん剤治療”と聞くとどんなイメージがわきますか?

私のようにドラマのワンシーンのような様子を思い浮かべる人も少なくないと思います。

とにかく「嘔吐」、「髪がなくなる」、「やせ細る」、「弱る」そんなイメージの方が多いのではないでしょうか。

でも実際は違うところもたくさんありました。

 

イメージが覆った現代の抗がん剤治療

実際に抗がん剤治療を経験してみて、初めて気づきました。

そう、自分がもっていたあの抗がん剤のイメージはひと昔前のものだったのだと。

そう感じた理由です。

従来の副作用がない抗がん剤が存在する

「抗がん剤」と一言でいっても、実はいろいろな種類があります。

その中でも自分が使用したことから初めて知ることとなった分子標的治療薬という抗がん剤。

この薬は抗がん剤のイメージを大きく変えるものでした。

 

その前にこの「分子標的治療薬」について。

 

Q48
「分子標的薬(ぶんしひょうてきやく)」とは、なんですか。
A
体内の特定の分子を狙い撃ちし、その機能を抑(おさ)えることによってより安全に、より有効に病気を治療する目的で開発されたくすりです。

 

つまりがん細胞にのみ作用する抗がん剤だということです。

だから脱毛したり、吐き気などの従来の副作用がほぼないのです。

 

実際にはアレルギーや皮膚の乾燥、炎症など違った副作用がみられる場合もあるのですが、それでも想像していた苦しい副作用とは違っていました。

ただ残念なことに、通常はこの分子標的薬のみで治療を進めるケースはほとんどなく、一般的な抗がん剤も組み合わせて使用することが多いのが現状です。

将来的に分子標的薬メインの抗がん剤治療になればどんなに楽かと本当に期待が膨らむばかりです><

 

通院(外来)で抗がん剤治療が可能

 

通院

 

これもとても目から鱗だった現代の抗がん剤治療の現場。

最近では通院での抗がん剤治療が原則となりつつあります。

「入院しながら抗がん剤をやるのが当たり前」という時代は終わりつつあるんですね・・・本当にびっくりしました。

 

小林麻央さんや北斗晶さんが病気を公表されたことで最近話題になることの多い乳がんは実際に半数以上の方が通院治療をされています。

 

そして私がなった悪性リンパ腫でもそう。

一番発生頻度の高い(患者数の多い)びまん性大細胞型B細胞リンパ腫という病型はR-CHOP療法という抗がん剤治療がされるのですが、外来で受けることが基本なのです。

 

実際には重篤なアレルギー反応が稀に起こることがあることから、初回クールのみ入院での治療。

それ以降は全て通院での抗がん剤治療という流れになっている病院がほとんどだと思います。

 

残念なことに私の場合はガンの染色体異常があったりなど予後の悪い病型だったため全治療が入院での実施となりました。

白血病に準ずる強い抗がん剤治療が必要なことから重い骨髄抑制が予想され、感染症対策を徹底的に行う必要があったからです。

 

骨髄抑制(こつずいよくせい)
がん治療の副作用によって骨髄の働きが低下している状態をいいます。血液は、骨の中にある骨髄でつくられていますが、この骨髄が抗がん剤の影響を受けると、血液細胞をつくる機能が低下し白血球・赤血球・血小板が減少し、貧血などが起こります。

 

 

7か月間にわたる長い抗がん剤治療となったため、入院生活そのものにかなりのストレスがありました。

なので自宅から通院で治療ができるなんて本当にうらやましい!と病室の中ではいつも思っていました。

 

窓も開けられない、外の空気も吸えない、病院内のコンビニにも行けない、とにかく行動範囲は病棟もしくは自分の病室内だけ。

それが長期間続くとどれだけのストレスになるかはその生活を経験した人にしかわからないと思います。

 

もちろん通院での治療にも大変な面はあります。

副作用真っ最中の中、病院まで自力で行かなければいけない人にとってそれは本当に過酷なこと。

向かっている車や電車の中で余計に気分が悪くなる人も多いと思います。

 

ですが、長期入院を経験し、言葉では表現できないくらいの苦しい生活を経験した身から思うことは、それでもやっぱり通院治療が可能ということは素晴らしいということ。

 

ひと昔前では考えられなかった現代の医療の進歩を感じました。

 

副作用を最小限に抑えるすばらしい薬がたくさんある

 

抗がん剤の副作用はそれが治まるまでただ耐えるしかないと思っていた私。

実際は副作用を抑えてくれる画期的な薬がたくさんあったのです。

 

白血球をあげる注射(G-CSF製剤)が存在する

白血球を上げる注射

抗がん剤の副作用には先に書いたように骨髄抑制があり、それによって白血球や好中球が減少してしまいます。

 

好中球は5種類ある白血球の1種類で、3種ある顆粒球の1つ。 中性色素に染まる殺菌性特殊顆粒を持つ顆粒球である。 盛んな遊走運動(アメーバ様運動)を行い、主に生体内に侵入してきた細菌や真菌類を貪食(飲み込む事)殺菌を行うことで、感染を防ぐ役割を果たす。

 

上の説明のように体内に入ってきた細菌と戦ってくれる役割をしているのが好中球。

いなくなってしまえば感染症を防ぐ手段がなく時には命を落としてしまうことさえあります。

 

その期間を短くしてくれるのがこの薬の存在。

好中球の増殖・分化を促進する作用があります。

 

こんなすごい作用をしてくれる薬があるなんで、これも自分が抗がん剤をする身になって初めて知ったことです。

 

私のときはグランという薬を使用していて毎クール骨髄抑制の期間は毎日注射をする必要がありました。

これが案外痛い注射><

 

でも最近ではジーラスタという薬が新たに発売され、1度の投与でいいそうです。

本当に医療は日々進歩しているんですよね。

 

制吐剤が進化している

抗がん剤のイメージに激しい吐き気や嘔吐はつきもの。

でもそれももう過去のものとなっていることを初めて知りました。

 

今は悪心・嘔吐対策のしっかりとしたガイドラインがあります。

 

抗がん剤とセットになった制吐剤

私の場合は毎回抗がん剤とセットになって初めから組み込まれていました。

 

まず抗がん剤投与前に毎回カイトリルと言われる制吐剤を投与。

これは急性の吐き気(投与後24時間以内に出現)に効く薬とのこと。

続いて遅延性の吐き気(投与後24時間後~数日)に効くデカドロン(ステロイド)も投与。

この2種類は必ずセットになっていました。

 

そのお陰か嘔吐することはありませんでしたが、それでも食事が全くとれない程の吐き気は続いていました。

それを主治医に訴えると次の吐き気止め、プリンペランの点滴も投与されることに。

 

すると吐き気は治まったものの、今度は我慢できない程の強い倦怠感に襲われるようになりました。

どうやら私はこの制吐剤と相性が悪いようで中止に。

 

ただやっぱりプリンペランを飲まないと吐き気が止まらないのです。

ということで今度はイメンドカプセルという内服の制吐剤が処方されることに。

 

事前のネット検索で“よく効くすごい薬”と知識を得ていたので期待していたのですが、これが本当にその通り!

それから強い吐き気に悩まされることはなくなりました。

食事も自分のペースでとれる程に。

 

今は吐き気止めもいろいろな種類があります。

とにかく吐き気で辛いときは我慢せずに訴えることが何よりも大切です!

自分に合う制吐剤が見つかればそれ以降の抗がん剤治療はうんと楽になるので^^

 

それと抗がん剤のことを考えただけで吐き気がするとか、通院治療の場合だといつも乗るバスを見ただけで気持ち悪くなるというような気持ちの部分が大きく影響していそうな吐き気には抗不安薬(ワイパックスやデパスなど)が効果的です。

そういった場合も絶対に我慢せず主治医に訴えるといいと思います。

 

今も昔も変わらないのは髪の毛が抜ける(脱毛する)こと

脱毛

抗がん剤の副作用で辛いのは決して体調面だけではありません。

髪の毛を失うということももちろんその1つ。

 

使用する抗がん剤の種類によって頻度は違うものの、こればかりは今も変わらずある副作用でした。

 

脱毛は特に女性にとってはとても辛いもの。

私も覚悟はできていたつもりだったのに、最初は思わず泣いてしまいました。

近い将来、脱毛しない抗がん剤治療が当たり前になる時代がくるといいのにな。

 

抗がん剤は思っていたより辛くなかったよ

ずばり、私が伝えたいことです。

幸いなことに私の場合は嘔吐するようなことも1度もなく、想像していたような激しい吐き気というのは1度もありませんでした。

これはやっぱり現代になって開発された素晴らしい薬や治療に恵まれたからだと思います。

 

もちろん主治医の判断や看護師さんの献身的なサポートは欠かせませんでした。

身体が辛いと言えば、すぐに吐き気止めや痛み止め、氷枕や電気毛布など少しでも楽になる手段を提案してくれました。

おかけで快適とはさすがに言えませんが、安心して治療をすることができました。

本当に感謝です。

 

私も治療前は本当にほんとうに抗がん剤という未知ものが怖くてたまらなかったです。

 

でも大丈夫。辛い抗がん剤は昔の話です。

 

どうか必要以上の恐怖感を持たないでください。

 

これから抗がん剤治療を受けられる方が少しでも安心して治療に挑めますように。

 

 

 

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